香霖堂繁盛記
 
書いた人:U16
 
第100話 快楽と代償(番外編)
 
 幻想郷と呼ばれる閉鎖された世界がある。
 
 この世界とは見えない壁一枚を隔てた所にある異世界。
 
 そこでは、人間だけでなく妖精や幽霊、吸血鬼に妖怪、更には宇宙人や死神、閻魔様に神様までもが存在していた。
 
 その幻想郷の魔法の森と呼ばれる湿度の高い原生林の入り口に、ポツンと建てられた一件の道具屋。
 
 掲げられている看板には香霖堂の文字。
 
 店の中に入りきらないのか? 店の外にも様々な商品が乱雑に積み重ねられている。
 
 ここ香霖堂は、幻想郷で唯一、外の世界の道具も、妖怪の道具も、冥界の道具も、魔法の道具も扱っている店であるが、外の世界の道具に関しては誰にも使い方が分からないため余り売れていないらしい。
 
 というか、僅かに使用方法の分かった外の世界の道具は、全て店主である森近・霖之助が自分のコレクションに加えてしまうので、商売としては成り立っていない。
 
 まあ、そんな感じで、ここ香霖堂は今日ものんびりと適当に商売していた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 香霖堂の地下工房に湿った音が満ちる。
 
 音の原因は、部屋の中央にある作業台に腰掛けた店の主人、森近・霖之助。……そして、彼のペニスに奉仕する妖怪の少女、多々良・小傘だ。
 
 小傘は辿々しい舌使いで、霖之助のイチモツを舐めながら、作業台に置かれた砂時計へと視線を向ける。
 
「ん……」
 
 全ての砂が落ちきる迄、後一分を切っている。
 
 小傘が霖之助と交わした条件は、砂時計の砂が落ちきるよりも早く小傘が霖之助を絶頂に導けば彼女の勝ちとして褒美が貰え、出来なければお仕置きを受けるというものだ。
 
 これまで何度も挑んできてはみるものの、一度として達成された事は無い。
 
 その度に様々なお仕置きを小傘は受けて来た。
 
 三角木馬、鞭打ち、蝋燭責め、浣腸、スパンキング、緊縛、洗濯バサミ責めといった身体的苦痛を伴うようなものから、剃毛、放尿、排泄、隠語説明、官能小説音読などのような羞恥プレイまで様々なものをだ。
 
「んふ……、ちゅぶ」
 
 荒い息づかいで必死に奉仕する小傘だが、無情にもここでタイムアップ。
 
 時間切れと共に、霖之助は小傘の頭を押し返し、股間から彼女の頭を遠ざける。
 
「やれやれだ。……また今日も駄目だったようだね」
 
「ご、ごめん……」
 
 素直に謝罪する小傘だが、その瞳にはお仕置きに期待する輝きが宿っているように感じた霖之助は暫し思案する。
 
 ……さて、どうしたものか。
 
 もっと酷い事をしようと思えば幾らでも出来るし、複数のお仕置きを同時にこなさせるという案もあるが、
 
 ……どうもお仕置きに期待しているような所がある。このまま普通にお仕置きしたとしても、あの娘には余り効果は無いだろうな。
 
 お陰で霖之助は暫く欲求不満が続いている。
 
 小傘の調教を初めて以来、霖之助は一度も射精していない。
 
 絶頂を迎える時は、小傘を使って達するようにする。それが小傘をオナホールとして改造する上で、霖之助が自分に課した制約だ。
 
 だというのに小傘ときたら、一向に口淫の技術が上達する様子を見せない。それどころかわざと失敗し、お仕置きされる事を喜んでいる節がある。
 
 これでは小傘が快楽を得る為に、霖之助が利用されているようなものだ。
 
 ……ここらで一度、お互いの立場を明確にしておく必要があるな。
 
 とはいえ、マゾヒストとして開花しつつある小傘にお仕置きは逆効果だ。
 
 ……厄介な性癖だ。
 
 溜息を吐き立ち上がった霖之助は小傘に服を脱ぐように命じると、自分は店の倉庫に赴き戸棚から新たな道具を持って地下工房へと戻った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 地下に戻った霖之助の前には、貞操帯のみを身に着けた小傘が彼の帰りを待ち侘びていた。
 
 白い肌に朱が差しているのは、恥ずかしさだけではないだろう。
 
 霖之助は懐から貞操帯の鍵を取り出すと、小傘の股間を保護する……、否、常に彼女の秘処と肛門を刺激し続ける道具が仕込まれた貞操帯の封を解いてやる。
 
「ヒィン!?」
 
 肛門と秘処からアナルバイブとローターを取り出す際、小さく嬌声を挙げる小傘。
 
 既にお仕置きによって陰毛の剃られた彼女の秘処は、まるで幼子のような生まれたままの姿を霖之助の前に晒している。
 
 但し、愛蜜を溢れさせた秘処と拡張され閉じきる事のない肛門は、幼子のそれとは似ても似つかないが……。
 
「ふむ……」
 
「あん!?」
 
 指を差し込み、具合を確かめる霖之助。
 
 小傘が堪らず声を挙げるが、霖之助は一切気にしない。
 
 愛液の滴り具合、肛門の柔らかさを交互に確認した霖之助は指を引き抜き小傘の鼻先にそれを近づける。
 
「う……」
 
 指先に僅かにこびり付いた排泄物に躊躇いを見せつつも、舌を伸ばして自らの愛液と腸液で汚れた主人の指を丁寧に舐め取っていく。
 
「ん……、ちゅむ」
 
 この程度の行為はお仕置きの内にも入らない。この後行われるであろうお仕置きを想像して小傘の内股を愛液が垂れ落ちる。
 
 上から見下すように注がれる霖之助の視線は冷たいものだ。
 
 ――今、彼の目には小傘はどう映っているのだろうか?
 
 一人の少女として? ……いや、これは有り得ない。精々がおしぼりかウエットティッシュ程度だ。
 
 普通の少女ならば耐えられないような視線も、本来が道具である小傘ならば話は別になってくる。
 
 道具として人に使ってもらえる事。人に喜んでもらえる事こそが、本来小傘が求めた幸せなのだから。
 
 ゆっくりと霖之助の指を舌で押し出し、清掃の完了を知らせる。
 
 霖之助は小さく頷き、持って来た紙袋から革と金属で構成された下着を取り出すと、手ずから小傘の身体に着用させていく。
 
「どうだい? キツいとかは」
 
「ちょっとだけ」
 
 とはいえ、普通に生活する分には何の影響も無い程度だ。
 
 霖之助は下着と肌の間に指を差し込み、具合を確かめると満足げに頷き、小傘の背後に回り込んで下着が脱げないよう鍵を掛けた。
 
「え……? これは一体……」
 
「名称は貞操帯。用途は女性の貞操を守る。……だ。基本的な用途はね。
 
 応用的には身に着けた女性に自慰を禁止させる程度の道具だよ」
 
 胸の頂部と股間に金属プレートが打ち付けてあり、上から触った所で何の刺激も得られない。
 
 隙間から指を差し込もうにも、その隙間が無いよう先程調整された。
 
 何よりも、今まで付けていた貞操帯と違い、この貞操帯には肛門はおろか秘処を刺激してくれるような道具が仕込まれていない。
 
「これが今回のお仕置きだよ」
 
 人の良さそうな笑みの瞳に嗜虐的な光を宿しながら言う。
 
「まぁ、何時ものお仕置きに比べれば楽なものだろうけどね」
 
 貞操帯を外す条件は、何時もと同じ。
 
 砂時計の砂が落ちきる前に霖之助を射精させる事。
 
 ……なら、明日はちゃんとイッてもらわないと。
 
 今までのようにお仕置き目当てで手を抜くわけにはいかない。
 
 小傘は、明日が来るのを待ち遠しく思うが、実はそれ自体が霖之助の仕掛けた罠だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 一日目。
 
 手伝いの少女が帰るのを今か今かと待ち続ける小傘。
 
 日も暮れ、ようやく二人きりになれたものの、霖之助から一向に呼び出しが来ない。
 
 痺れを切らせた小傘が思い切って霖之助を誘ってみると、返ってきた答えは、「今日は気が乗らないので止めておこう」という素っ気無いものだった。
 
 主人がそう言うのならば逆らうわけにもいかず、悶々とした気持ちのまま小傘は部屋に戻った。
 
 二日目。
 
 のらりくらりと小傘の誘いを躱す霖之助に対し、名案を思い付いた小傘は早速それを実行に移す事にした。
 
 その案とは、トイレに行くので鍵を外してもらうというものだ。
 
 和ぎる神としての付喪神を目指すようになった小傘は、人間の恐怖心の代わりに普通の食事を求めるようになった。
 
 食べる物を食べれば排泄する。その為、トイレに行くのも当然の行いだ。
 
 本来ならば霖之助の手で無理矢理絶頂に導いてもらいたいところであるが、この際贅沢は言っていられない。
 
 火照る身体を収める為、用便の振りをしてトイレで自慰をしようと企む小傘。
 
「あのご主人様」
 
「ん?」
 
「か、厠に行きたいから、鍵外して欲しいんだけど……」
 
 それを聞いた霖之助は納得したと頷き、
 
「確かに家の中を汚されても困るしね」
 
 言って、小傘に外の世界の道具を手渡した。
 
「名称は大人用紙オムツ。用途は、老人介護用のオムツだね」
 
 そんな物を渡されても小傘としては使い方が分からないし、なにより本来の目的である自慰を行う事も出来ない。
 
 とはいえ、小傘の抗議など知った事ではない霖之助は面倒臭げに溜息を吐くと、小傘にスカートを脱がさせて仰向けに寝かせ、貞操帯の上に手ずから紙オムツを装着させてやった。
 
 それで霖之助は満足して部屋に戻っていったのだが、問題は残された小傘の方だ。
 
 オムツを着けられた為の妙な安心感からか、今まで余り意識していなかった便意を急に意識するようになってしまった。
 
 三日目。
 
 遂に霖之助を地下工房に誘い出す事に成功した。
 
 作業台に腰掛け、傍らに砂時計を置く霖之助。
 
 既に便意が限界間近の小傘は、真剣な表情で霖之助と相対した。
 
 固唾を飲んで霖之助の帯を緩めるとイチモツを取り出す。
 
 霖之助が砂時計を引っ繰り返すと同時、躊躇い無く男根に舌を這わせる。
 
 男根に唾液を塗すような感じで舐め続けていると、それまで柔らかかったイチモツが徐々に固くなり起立してくる。
 
 ある程度大きくなったイチモツを咥えようとした小傘だが、そこで霖之助の手によって強引に股間から顔を遠ざけさせられた。
 
 軽く混乱する小傘に対し、霖之助は手元の砂時計を見せ、
 
「時間切れだ。――今日はここまでのようだね」
 
 言って、早々にズボンを引き上げてしまう。
 
「そ、そんな!?」
 
 小傘の思っていたよりも大分早い。それもその筈、今回霖之助が使用した砂時計は通常の三分用ではなく、一分用の物だからだ。
 
 だが、小傘とてもう後が無いので、このまま引き下がるわけにもいかない。
 
「お、お願い! もう一度だけ、やらせて!?」
 
 霖之助に取り縋り懇願する小傘だが、すぐにこのやり方では駄目だと自覚し、一旦、霖之助から離れると床に跪いて手を添え深々と頭を下げ、
 
「お願いします。どうか、もう一度だけチャンスをください」
 
「……チャンスは一日一回だけだと言ってあった筈だが?」
 
「お願いします。もう一度だけ……。どうか、ご慈悲を」
 
 暫く考えていた霖之助だが、流石にイカサマをしていた為、後味が悪かったのか、深々と溜息を吐き出し、
 
「例え次で成功しても、後でペナルティーは与える。それで良いね?」
 
「は、はい! ありがとうございます」
 
 作業台に腰掛け、今度は三分用の砂時計を傍らに置く。
 
「じゃあ、スタートだ」
 
 その言葉を合図に、霖之助の服の帯を解きイチモツを露出させる。
 
 すっかり萎えてしまっている物に対して、先程と同じように舌で舐める事で刺激と潤滑油代わりに唾液を塗していく。
 
 徐々に勃起してきた霖之助のイチモツを舐めながら横目で砂時計の残りの確認。
 
 ……これだけ有れば。
 
 そう思った時だ。急に腹痛が襲い思わず霖之助の男根から口を離してしまった。
 
 ……や、ヤだ。収まって……ッ!?
 
 腹を押さえて蹲る小傘を見て、おおよその事態を察した霖之助は砂時計を横目で眺め、
 
 ……このままだと、間に合いそうに無いな。
 
 そう判断して小傘の頭を掴んで強引に上を向かせ、
 
「君は何もしなくていい。……ただ、噛まないでくれよ」
 
 言うなり小傘の口に自身の陰茎をねじ込んで、掴んだ頭を強制的に前後させる。
 
「ん!? ……んぶッ! んんん!?」
 
 イラマチオと呼ばれる性行為だが、当然小傘にそんな知識は無い。
 
 喉の奥を突かれる度に起こる吐き気と呼吸困難、そして腹痛による三重苦により涙目になるも、自分の口が性処理の為の道具として扱われている事に快楽を見いだす小傘。
 
 時間が約束の三分に達しようとする寸前、一際深く小傘の口内にペニスを突き入れた霖之助は、そこで射精した。
 
 小傘の喉奥に直接掛けられる精液。
 
「んんッ!? ――んんん!」
 
 ……何コレッ!? 熱くて、ドロドロで、臭くて、苦い。
 
 当然、初めてで飲み込めるような物ではなく、思わず霖之助のペニスから口を離してしまう。
 
 ここ数ヶ月、小傘の調教の為、射精を耐えていた為、霖之助の射精は長く量も多い。
 
 そんな事をすれば、自然と精液を顔に貰う事になる。
 
「あ……、あぁ……」
 
 ……あ、熱い。
 
 初めての精液と呼吸を取り戻せた事の安堵から、思わず気が緩んでしまい失禁してしまった。
 
「あ……、や、やだ……」
 
 幸い、オムツのお陰で外に零れる事は無いが、尿道の安堵が肛門にも連鎖してしまったのか、肛門が緩るみ大きい方も漏らしてしまう。
 
 音は貞操帯とオムツのお陰で外に漏れる事は無かった。漏らした物もオムツのお陰で見られる事は無い。……しかし、臭いまでは誤魔化しようが無かった。
 
「ご、ごめんなさい……、ごめんなさい……、ごめんなさい」
 
 うわごとのように謝り続ける小傘。
 
 浣腸され、排泄姿を霖之助の前に晒した事もあるが、お漏らしとなるとそれとはまた別の羞恥がある。
 
 更には普通の排泄とは違い、お漏らしの場合、放り出した物がお尻にまとわりつく嫌悪感や、罪悪感、惨めさなども上乗せされる為、むしろ恥ずかしさという点においては、こちらの方が上かも知れない。
 
 霖之助としては、既に排便姿を見られているので、多少は耐性が出来ていると思っていたのだが、この小傘の取り乱しようは正直予想外だった。
 
「大丈夫だ。……誰も怒っていないから」
 
 優しく言い聞かせるように耳元で囁き、軽く抱き締めてやる。
 
 そして泣きじゃくる小傘を立たせると、霖之助はまず彼女の服を脱がしにかかる。
 
 幾らか霖之助の精液が飛び散り精臭がするものの、小傘の服に酷い汚れは見当たらない。
 
 ……これなら、普通に洗うだけで大丈夫だろう。
 
 次に貞操帯にオムツのみという姿になった小傘から、まずはオムツを剥ぎ取る。
 
 小水と糞便の為、重くなったオムツを剥ぐと一気に便臭が強くなった。
 
 その臭いに思わず眉根を寄せながら、鍵を取り出して小傘の背中にある貞操帯の封印を解く。
 
 すると、貞操帯の中に溜まった糞便の重さに耐えかねたのか、小傘の股間を覆っていた革製のショーツが、そのまま一気に床までずり落ちた。
 
 霖之助は無言のまま、ちり紙で小傘の汚れた尻を拭ってやり、一通り拭い終わると、
 
「僕は風呂を沸かしてこよう。準備が出来たら呼びに来るから、それまでここで待っていてくれ」
 
 言うだけ言うと、汚れ物とゴミを手に立ち上がり、工房を出て行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 一人、地下工房に残された小傘。
 
 元凶を霖之助が持ち去ってくれたとはいえ、未だ便臭の残るこの場所は彼女の心を酷く惨めにさせる。
 
 ……だというのに、その羞恥と惨悔の念でさえ小傘の秘処を濡らす為の燃料となっていた。
 
 秘処に手を伸ばし、ゆっくりと肉を割り開く。
 
 それだけで、股間からは透明な愛蜜が溢れ出た。
 
 それを指で掬い取り、恐る恐る口元に運ぶ。
 
「ん……」
 
 振るえる舌先で一舐めし、徐々に指全体を舐め啜るように舌を動かしていく。
 
「……ん」
 
 唾液に濡れた二本の指は、未だに排泄の余韻でひくつく肛門に、残された左手は控えめな胸を優しく揉み出す。
 
 最初は優しく揉んでいた小傘だが、次第に指先は乳房ではなく乳首を重点的に責めるようになり、片方の胸しか愛撫出来ない事に徐々に苛立ちを募らせていく。
 
「ん……、もぅ」
 
 肛門を嬲る右手を使えば両方の乳房を愛撫する事も出来るが、肛門の刺激も手放したく無い。そして出来る事なら、秘処にも刺激が欲しい。
 
 ……そうだ、道具を使えば。
 
 立ち上がり、棚からディルドを取り出そうとする小傘だが、腰が抜けているのか、上手く立ち上がる事が出来ない。
 
 それでも更なる快楽を求め、作業台にもたれ掛かり、縋り付きながら懸命に立ち上がろうと小傘が足掻いている所で、霖之助が戻ってきた。
 
「……何をしているんだ、君は」
 
「ご、ご主人様……」
 
 半ば呆れたような溜息を吐きながらも小傘に手を差し伸べ、そのまま風呂場まで連行していくと、手ずから小傘の身体を洗ってやる。
 
 霖之助の手で髪を洗われ、背中を流してもらうのはとても丁寧で気持ち良い行為なのだが、先程の中途半端な自慰で身体の火照っている今の小傘にしてみれば、丁寧に扱われる指先が焦れったく感じる。
 
 ……でも、自分の手でする時より気持ち良い。
 
 霖之助の手で壊れるくらい激しく身体を弄ってもらえたら、どれだけの快楽を得られるものだろうか。
 
 そんな事を考えていると、頭からお湯を掛けられ、現実に引き戻された。
 
「終わったよ。――後は肩までゆっくりと浸かっていると良い」
 
 そう言い残し、霖之助は浴場を出て行く。
 
 残された小傘は言われた通り、湯船に肩まで浸かりながら、ある決意をした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 小傘の服の洗濯を終え、居間で寛いでいた霖之助の元に、長襦袢姿の小傘がやって来た。
 
 小傘の気配に気付きつつも、霖之助は読んでいる本から視線を上げないまま、努めて無感情に、
 
「ペナルティーの方は後日にするから、今日はもう休むといい」
 
 だが、それに対する小傘の返答は無く、居間を出て行く素振りも見えない。
 
 衣擦れの音が聞こえ、ようやく顔を上げた霖之助の視界に入ってきたのは、襦袢の前をはだけさせた小傘の姿だ。
 
「……何のつもりだい?」
 
 問うてみると、小傘は真剣な表情で、
 
「ねぇご主人様。……私、汚れてる?」
 
 おそらく、先程の失態を気にしているのだろうと判断した霖之助は、一切の躊躇いも無く、
 
「いいや、綺麗なものだよ」
 
 そう言われて、安堵の吐息を吐き出す小傘。
 
 そして彼女は、霖之助に対し覚悟を口にした。
 
「ご主人様。――私の初めてを貰ってちょうだい」
 
 もし、霖之助が小傘の誘いを断れば、彼女は自分が汚れているので霖之助に断られたと思うだろう。
 
 しかし、意外に思う者も居るかもしれないが、霖之助には最初から小傘と性交渉を持つつもりが無かった。
 
 性欲発散の為の道具として扱うと発言してはいるものの、それはあくまでも口や手での奉仕を指していたのであって、小傘の処女に関しては、いずれ彼女に良い人が出来た時の事を思い、手を付けるつもりは毛頭無かったのであるが……。
 
 ……ここで断ると、酷く落ち込むだろうな。
 
 こういう状況で、余り返事を待たせるのは得策ではない。
 
 よって、霖之助も覚悟を決めると、小傘を己の寝室に連れて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さて……、まず始めに言っておくべき事がある」
 
「……何?」
 
 布団に横たわる全裸の小傘に覆い被さるような体勢で同じく全裸の霖之助は言う。
 
「前にも言ったと思うが、僕が君を抱くのは、愛だの恋だの好きだのがあっての事ではなく、あくまでも性欲処理が目的だ」
 
 これは絶対にハッキリさせておかなければならない事だ。
 
「よって、僕は君との間に子供を作るつもりは毛頭無い」
 
 分かっていた事だが、改めて断言されると流石にへこむ。
 
 しかし、そんな事を言いながらも霖之助は小傘の控えめな胸に顔を寄せ、舌で左の乳首を転がし、左手で右の胸を揉んで愛撫し始めた。
 
「ん……」
 
 舐め、転がし、吸い付き、甘噛む。
 
 今まで散々道具によって乳首を責められてはきたが、直接霖之助の口で愛撫されたのは実は初めてだった。
 
 しかもこれは、道具によって行われる無慈悲な愛撫と違い、
 
 ……愛撫が、……ねちっこい。
 
 道具による愛撫は、例え絶頂に達しようともその責めを緩めず、再度絶頂に引き上げ、こちらが許しを請おうとお構いなしにイキ地獄を味わせてくれるのに対し、霖之助の愛撫はその真逆。
 
 ゆっくり、ねっとりとした愛撫で、イクにイケないもどかしさを小傘に与え続ける。
 
「ひぃあ!?」
 
 小さな刺激を股間に感じ視線を向けると、霖之助の右手が小傘の秘処を愛撫していた。
 
「ふむ……。これだけ湿っていれば充分だな」
 
 そう告げる霖之助の指は小傘の愛液によって濡れ滴っている。
 
 自覚は無かったが、霖之助の愛撫によって感じていた事を見せつけられ顔を真っ赤に染める小傘。
 
 ……あ、でも子作りはしない筈なんじゃ。
 
 避妊するだけで、抱いてはくれるのだろうか?
 
 そんな事を考えながら、霖之助の挿入をいまかいまかと待ち続ける小傘。
 
 しかし、霖之助は小傘の中に男根を挿入するのではなく、秘処にこすりつけるようにして腰を前後し始めた。
 
「あ……、んぅ……」
 
 霖之助の男根が包皮を被ったままのクリトリスを刺激し、思わず甘い声を挙げてしまう小傘。
 
 霖之助の腰が前後する度に、より強い刺激を得られるよう小傘もタイミングを合わせ腰を前後させる。
 
 そしてその度に、彼女の秘処からは愛液が滴り落ち、霖之助の陰茎を濡らしていく。
 
 五分程そんな行為を繰り返し、心も身体も昂ぶってきた頃、霖之助の手によって強引に小傘の身体は引っ繰り返された。
 
「キャッ!?」
 
 腹に手を差し込まれて膝を立たされ、尻たぶを開き菊穴を露出させられる。
 
「……え? ……まさか」
 
 小傘の予想通り、尻穴に添えられる霖之助の男根。
 
「いくぞ」
 
 男根に塗された愛液が潤滑油代わりになり、徐々に小傘の菊花を押し広げていく。
 
「い!? ヒギッ!?」
 
「力を抜くんだ。――我慢すると、余計に痛いらしい」
 
 これまでの調教で、様々な道具を飲み込んできたとはいえ、霖之助のモノはそのどれよりも太く大きい。
 
 一分以上の時間を掛け、ゆっくりと小傘の肛門は霖之助のイチモツを完全に飲み込んだ。
 
「は……、入っちゃった……」
 
「あぁ……。これで、君の初めては僕が貰った」
 
「は、はい……」
 
 たとえ後ろとはいえ、自分の初めてを霖之助に捧げられた事が嬉しかったのか、涙を流しながら笑みを浮かべる小傘。
 
 その余韻に浸りつつも、既に尻穴で快楽が得られる程度には調教されている小傘は、小さく腰を前後させて我知らずの内に快楽を求める。
 
 当然、そんな事をすれば未だ繋がったままの霖之助にも気付かれる。
 
「まったく……、本当に君は淫乱だな」
 
 言うなり一気に男根を引き抜かれ、
 
「ひぃう!?」
 
 間髪入れずに根本まで突き込まれる。
 
「ぎぃ!?」
 
 腸壁が擦られる度、肛門を雁首が出入りする度に強い絶頂を味わう小傘の太股を伝い愛液のシミがシーツに広がっていくが、そんな事に気付ける余裕など、今の小傘には無い。
 
「お! おほぉ!? ――お、お尻ぃ、凄い、凄いのぉ!? これ……、気持ち良い……ッ!?」
 
 大きめのストロークから連続性の高いものに切り替えた為、霖之助も絶頂が近い。
 
「だ、だめ……ぇ。イクの……、とま、らなッ!?」
 
 連続の絶頂に失神寸前の小傘の菊穴に、霖之助は己のイチモツを深く突き入れ、
 
「クッ……」
 
 己の欲望を全てブチ撒けた。
 
「あ、あ……。あぁ」
 
 子宮の裏側に熱いモノを掛けられたショックと、今日一番大きな絶頂に達した快楽で緊張と共に尿道が緩んだのか、小傘はそのまま霖之助の布団に向けて小水を垂れ流してしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ハァハァハァ……」
 
 荒い息を吐きながら、小傘の中からイチモツを引き抜く霖之助。
 
 途端、支えを失った小傘の身体は布団に突っ伏してしまう。
 
「……初めてだったし、疲れたんだろう」
 
 肩で息をする小傘に労いの言葉を掛けてやろうとして、霖之助はようやく布団の惨状に気が付いた。
 
「これは……」
 
 とてもではないが、使える状況ではない。
 
 というか、こんな布団を洗ったり干したりすれば、まるで霖之助がおねしょでもしたと勘違いされるだろう。
 
 取り敢えず、布団は客間(小傘の部屋)の物と取り替えるとして、まずは小傘にお仕置きする為、霖之助は力無く横たわる彼女の身体を小脇に抱えて地下工房へ向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 まあ、折角の100話記念だしね。これだけじゃあつまらんだろうという事で、Web拍手の方にオマケを用意しておきました。
 
 但し、ハードネチョ。これじゃ、全然物足りねぇなぁ。という猛者専用です。
 
 それでも読みたいという人は、注意事項を良く読んだ上で、了承の証としてコメントに『わっふるわっふる』と記入してください。
 
 ちなみに、あらゆる苦情は一切受け付けません。
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